きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)
きぶなくん活動記録
2023-05-22
きぶなくんの活動~2023年春の陣~
季節も5月の半ば、田んぼには水が張られ、新緑が非常に美しい今日この頃。宇都宮市場でもカツオやキジハタなど、季節の水産物と一緒に半袖の従業員も日に日に増えております。笑
さて、例年だと7月~8月にかけて一気に忙しくなってくる『きぶなくん』の活動ですが、今年は3月から毎月のように、ありがたいご依頼をいただいております。
栃木県立博物館友の会様より深海生物講座『栃木県に上陸⁉本物の深海生物を観察してみよう!』の開催、
ミヤラジ様にてラジオ番組「動物情報番組アニマルLOVERS」への出演、
栃木リビング新聞社様が発行されている子育てファミリー向け情報誌『あんふぁん』にて全5回のおさかなコラム連載も行っております。
また、現在栃木県立博物館で行われている第135回企画展『甲殻類ワールド~エビ、カニ、フジツボ、ダンゴムシ、ミジンコ & カブトエビ~』では、標本収集という分野で微力ながらお手伝いをされていただきました。実際の展示や図録などで弊社が扱っている水産物や私が採集してきた標本などを実際に展示物として見ることができます。
企画展は6月18日まで開催されております。是非ご興味のある方は栃木県立博物館までお越しください!
私自身、年々活動の幅が広がっていることを実感しており、本当にありがたく、やりがいを感じる毎日を過ごしております。そして今後も新しい活動にどんどん挑戦していきたいと思っております!
そして今年ももうすぐ夏がやってきます!現在は夏にむけて『新作!海の生きもの講座!(仮称)』の準備を子供たちの喜ぶ姿を想像しながら着実に進めております。
今年の夏も暑さには負けず、おさかな活動に日々精進していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
きぶなくん
クロダイの話
2023-04-07
色々と評価がうやむやな魚
長い冬も明け、桜が咲く季節が今年も到来してまいりました。この頃に美味しくなる魚といえば桜鯛とも称されるマダイですが、今回は『クロダイ』の話です!
明るい赤から黒い色へ…心なしか雰囲気が暗くなりましたか?
実はクロダイはその黒い体色のせいで古くから祝儀には向かない魚として扱われていたようです。江戸時代の川柳では「黒たひは白木の台へのらぬ魚」とあり、ある話では葬儀の精進落とし料理でクロダイが出される地域もあるとのこと。
さて、体の色から昔は過小評価されていたクロダイですが、一方で誇れる面もあります。日本にはイシダイやキンメダイなど、語尾に「~ダイ」という名前の魚が数多くいますが、その大半はタイ科の魚ではない「あやかりタイ」なのですが、このクロダイは正真正銘マダイと同じタイ科の魚なのです。
ただ、クロダイは生息している場所がマダイとは異なり、内湾や河口域などの汽水域を好む傾向があります。中には川をさかのぼる個体もいる為、「川鯛」と呼ばれている地域もあるみたいです。私もダイビングでクロダイを見る機会は多いですが、やはり太陽光の降り注ぐ、比較的浅い場所でよく見られるような気がします。
そんなクロダイは雑食性でなんと海藻なども食べることがあります。その為、時期や産地によっては身に磯臭さが残ってしまうこともあり、ネットでクロダイと検索すると「クロダイ まずい」…などという不名誉な候補が出てくることがあります。クロダイは釣り人達にとって非常に人気のある魚です。この事は恐らく、様々な場所、様々な時期に釣り上げられた全てのクロダイに対する評価の一端だとも考えられます。
市場に入ってくるクロダイは、時期や産地を見極める生産者がキチンと選び、鮮度がいい状態で流通させるので、外れはほぼございません。人によっては『真鯛に劣らぬ美味しさ』とも言われるクロダイ。私も実際にいただきましたが、磯臭さなどは一切なく、刺身で本当に美味しくいただくことができました!
宇都宮市場ではちょうど今の時期に入荷の多い魚です。是非、街で見かけた際は、まずいという言葉からはかけ離れた『本物の黒鯛の味』を確かめてみてはいかがでしょうか。
トクビレの話
2023-03-17
異様な風貌ですが美味しい魚です。
宇都宮の市場では全国各地から様々な水産物が入荷されます。
中には変わった風貌の魚も多く、今回ご紹介する魚も非常に特徴的な見た目をしています。
『八角(はっかく)』です!
あれ…?タイトルと魚の名前違くない?…と思った方もいるかもしれません。
厳密にいうと正しい名前(標準和名)はトクビレという魚なのですが、この八角とは産地の一つでもある北海道の呼び名で、専ら宇都宮市場でもこのトクビレの事を八角と呼んで扱っています。
ではなぜ『八角』という名前なのか…。
実はこの魚の胴部を輪切りにすると、断面がキレイな八角形になっており、この事が八角という名前の由来になっております。特徴はそれだけではなく、堅い骨板に覆われた体はトゲだらけで、シュッと長い頭部の下にはヒゲもたくさん生えています。
中でも特筆すべきは和名トクビレの名前の由来となった大きなヒレです!
この大きなヒレは雄のトクビレにしか見られず、雌のヒレはそこまで大きくはありません。つまり、トクビレの場合このヒレの大きさを見れば雄か雌かが一発でわかるという事です。
また、このヒレは主に求愛行動に使われるそうですが、ヒレを全開にしたトクビレの姿はまるでクジャクのような美しさで本当に見入ってしまいます。因みにオスしか入っていない水槽でも時折ヒレを全開にする行動が見られるそうです。
これらの特徴を持つトクビレは、江戸時代の書記『西蝦夷日誌』(著:松浦武四郎)で異魚として絵付きで紹介されていますが、実際に昔から食べられていたのか…という部分は非常に気になるところでもあります。【西蝦夷日誌 第2編 19ページ】
さてさて、そんな見た目のトクビレですが、実は高級魚として扱われることが多く、その澄んだ白身には旨味やほんのり甘い脂が乗っています。刺身や干物、汁物などなど何にしても本当に美味しいのですが…中でも代表的な料理は、鱗が付いたまま背中を開き、身に味噌をぬって焼く『八角の軍艦焼き』です。
トクビレは時期になると宇都宮市場でも普通に見かける魚です。もしも県内の料理店で『八角』の名前を見つけた際は美味しい魚だ!…と思って是非注文してみてくださいね。
アナゴの話
2023-02-20
アナゴは刺身で食べられるのか…
いきなりですが、皆さんは『アナゴを使った料理』と聞くと何を連想しますか?
ほとんどの方は煮穴子や蒲焼き、焼き穴子、天ぷらなどを連想されるかと思います。
そして、それらの料理に共通して言えることは全て加熱されたアナゴ料理という事です。言われてみれば、アナゴに近い魚であるウナギも蒲焼きなどが有名で、生で食べる話はあまり聞きませんね。
ではなぜ、アナゴ料理は火を通す必要があるのでしょうか?
その理由は…『アナゴは毒を持つ魚』だからなのです。
そしてこれらの毒はアナゴと同じ体型をしたウナギやハモなどの魚も同様に持っており、主に血液や体表の粘液中に多く含まれます。そしてこの毒は加熱をすることにより、完全に無毒化することができるので、加熱して食べる分には全く問題はございません。
ただし、注意すべきはアナゴやウナギを調理する際、傷口に血や粘液が入らないように気を付ける事、そしてこれらの魚を触った手で目をこすらない事です。
以上の事から生で食べられることの少ないアナゴでしたが、本当に刺身として食べることはできないのでしょうか?
結論から言ってしまうとアナゴの刺身はできます!
むしろ、広島や長崎などの西日本ではアナゴの刺身やお造りをメニューとして出す料理店も多いそうです。
実際にアナゴを刺身で食べる為には鮮度がよく、しっかり血抜きされたものを選び、調理の際には血を残さず、ぬめりがとれるまで水洗いしたうえで捌く…という、熟練の技が必要とのこと。
…そしてなんと、今回は関東では激レアなアナゴの刺身を実際にいただいてきました。
気になる味の方ですが…まるでフグのようにコリコリとした弾力溢れる食感に、ほどよい脂が乗っており、噛むたびに甘味がにじみ出る…想像をはるかに超える美味しさでとても感動いたしました!煮穴子や蒲焼きが美味しいのはタレのお陰…だけではなく、材料となる魚がアナゴであるからこそあれほど美味しい味になるのだという事を実感いたしました。
関東など東日本ではあまりなじみのない料理ですが、是非メニューで見つけた際には『アナゴの刺身』一度召し上がっていただくことをオススメしたいです!
※今回アナゴの刺身をいただきました『まん蔵』様、写真のご提供ありがとうございます!
(注:アナゴの刺身はまん蔵様のメニューに常にあるわけではないので予めご了承ください。)
新年のご挨拶と豆知識
2023-01-11
宇都宮市場で見られるウサギに因んだ魚たち
新年あけましておめでとうございます!きぶなくんです!
毎月コツコツと更新してきたお魚ブログですが、今年で2年目に突入しました!更新のたびに本当にたくさんの方々から嬉しい反響をいただくことができ、私自身このブログにやりがいを感じております!本年も昨年と同様にメキメキ更新していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
一方で『きぶなくんの海の生き物講座』活動の方も年々オファーが増えてきており、今年も一人でも多くの方へ海の生き物や水産物の魅力をお伝えする為、精力的に活動していきたいと思っております!
さて…
令和五(ギョ)年一発目のブログですが、昨年と同様に干支に因んだ魚を紹介いたします!
今年の干支は『兎』ですね!
実は、宇都宮市場でもウサギの名前に縁のある魚を時折見かけることがあります。
まずは『ウサギアイナメ』です!
恐らく市場に勤めている方でも初めて名前を聞いた…という方がいるかもしれません。実はこのウサギアイナメは別名『アブラコ』と呼ばれており、市場で流通する際には後者のアブラコの名前が使われることが多いです。(魚図鑑で調べる際には標準和名であるウサギアイナメで検索をしてください。)実際に昨年の7月頃にアブラコの名前でウサギアイナメが貞正に入荷されたことがありました。
このウサギアイナメは主に北海道やベーリング海などの寒い海に分布しており、大きくなると約80㎝にもなる大型のアイナメの仲間です。体が大きいためか顔つきが普通のアイナメよりもドッシリとしており、その様子がまるで餌をほおばったウサギの顔に見える為、ウサギアイナメ…となった説があるようです。
次に紹介する魚は『アイゴ』です!
この魚は関東ではあまり食べられることの少ない未利用魚ですが、主に瀬戸内などの関西圏で非常に美味しく食べられている魚です。アイゴは雑食性で長い腸を持つ為、水揚げ方法や鮮度管理次第で内臓の臭みが肉に移ってしまう…という非常にデリケートな魚でもあります。
さて、なぜこのアイゴがウサギに縁があるのかというと、実は英名を『Rabbit fish』といい、直訳すると『兎魚』になるわけです。どうやら顔つきや藻類などのエサを食べる姿がウサギを連想させるとのこと。(注:『Rabbit fish』は一方でギンザメという深海魚を指すこともありますが、ここでは割愛させていただきます。)
アイゴは宇都宮の市場でも見かける事の少ない魚ですが、生態や味など非常に興味深い魚なので機会があればじっくりブログで紹介したいと思います!
今回はウサギに縁のある魚を2種類紹介させていただきました!
今年は兎年で『飛躍の年』でもあります!ウサギアイナメやアイゴがぴょんぴょん跳ねるかは置いておいて、今年は私たちにとっても兎のように飛躍できる…そんな一年にしていきたいですね!
写真は左がウサギアイナメ(アブラコ)、右がアイゴです。

