本文へ移動

ブログ

きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)

マグロの話

2022-02-18
昔は不人気だった熱血の魚(その1)
日本人の好きな寿司ネタランキングでサーモンと共に毎年常にトップに君臨する、まさに『寿司キング』と言っても過言ではない魚といえば…そう!マグロですね!
特に栃木県は2021年に一世帯当たりの年間マグロ消費量が全国一位というマグロ大好き県なわけであります!
しかしながらその昔、マグロは今の地位からほど遠い、下の魚として扱われていました。なぜそのような扱われ方をされていたのか…。今回はその理由に関連してマグロという魚自身の話をしたいと思います。
今回は数あるマグロの中で最も高価な本マグロの異名を持つ『クロマグロ』にフォーカスします。
 
クロマグロは大きくなると3mにもなる国内最大のマグロです。太平洋の北半球側に広く分布し、オホーツク海やアラスカなど、冷水域でも生きることができる国内唯一の種類となっています。
マグロは、イワシやイカなど小型の生き物を食べますが、これらのエサを捕らえる為にも速く泳がなければいけません。クロマグロは人が入ると凍えてしまうような水温でも高速で泳ぐことができるのですが、実はこの能力には秘密があります。
 
その秘密とは…クロマグロは熱血の魚であるということです!
 
ちょっと語弊があったかもしれませんが、クロマグロは魚でありながら、まるで周囲の水温よりも高い体温を維持し続けることができる部分的内温性の魚なのです。このような魚はクロマグロ以外にもカジキの仲間や外洋性のサメなどでも確認されています。
 
では、一体クロマグロは毛布を羽織るわけでもなく、どのように体温を維持しているのでしょうか。
その秘密は奇網(きもう)と呼ばれる特別な血管構造にあります。簡単に説明すると、海水と接して冷やされた血が流れる動脈と、運動によって温められた血が流れる静脈がUNOのリバースカードのように隣接して並び、逆方向に流れることにより互いに効率よく熱交換を行うことができるのです。
 
この仕組みのおかげでマグロは最高で30℃近くまで体温を上げられるといわれており、こうして高体温を維持できるクロマグロは低水温下でも高速遊泳ができる、文字通り熱血の魚だったというわけです。因みにその温かさといえば、ひとたび真冬のマグロに包丁を入れると湯気が立つといわれているほどです。
しかしこの事は普通の鮮魚以上に鮮度が格段に落ちやすく、管理が非常にシビアであることも意味します。
もうお気づきの方もいるかと思いますが、マグロがその昔、不人気だった背景と歴史については次回お話ししたいと思います。次回は早めの更新を予定しておりますので、お楽しみに!
TOPへ戻る