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きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)

アユの話

2022-06-13
日本の建国に一役買ってます
今年も6月に入り、梅雨の季節になりました。さて、この時期に栃木県内が大きく沸くイベントが発生します!

『アユ釣り解禁』です!

栃木県は全国屈指のアユ釣りの聖地となっていますが、ちょうど今の時期は県内あちこちの河川で解禁の情報が流れ始めます。
 
さて、今回はそんなアユに関する昔話を紹介したいと思います。
 
そもそもアユは古くより日本人に縁のある魚ですが、実は天皇家とも非常にかかわりの深い魚でもあります。
日本書紀によりますと…、初代天皇である神武天皇が天皇に即位される前の頃、生まれ育った九州(日向の国)から東征し、行く先々を平定しながら近畿地方まで攻め上ってきました。
そこで大和の国と戦い、一度は敗れてしまいますが、再戦をする前に丹生川上の夢淵という場所で戦勝祈願の占いをします。その方法とは、厳瓮(いつべ)と呼ばれる壺を丹生川に沈め、魚が浮かびあげれば大和の国も平定して治められる。…というもの。
結果、魚が木の葉のように浮かび上がってきました。それを見た兵士の士気も上がり、その後の戦いに勝利。初代神武天皇に即位され、日本を建国されたというお話しです。
 
なぜ壺を沈めただけで魚が浮いてきたかというと、厳瓮(いつべ)の中には酒が入っており、酔っぱらった魚浮いてきたという話の他、魚毒性のある何かを入れて沈めたという見解もあるようです。そしてその時に浮いてきた魚というのがアユだったというのです!晴れて占いに使われたアユという魚は『鮎』という漢字で表記されるようになりました。(諸説あり)
 
また、天皇陛下の即位の儀に用いられる道具に萬歳幡(ばんざいばん)という旗があります。数ある萬歳幡の中には、なんと5匹のアユと壺が描かれたものがあるのです。残念ながら、平成と令和の即位式では使われなかったそうですが、故事に思いを馳せる天皇家とアユの強い結びつきを感じます。
 
ただ…この萬歳幡に描かれているアユですが、本来アユにあるべき脂鰭(あぶらびれ)というヒレが描かれていないらしく「本当にアユか⁉」…という声もあるようです。
しかし、神武天皇の他にも…仲哀天皇の皇后である『神功皇后』が朝鮮半島へ遠征に行った際にもアユが占いに用いられるなど、天皇家とアユとの関係はとても深く、これらの事からも萬歳幡の魚はアユであったと推測できるとのこと。
現在でも尚、人々に愛されるアユですが、まさか建国の神話にまで関わっていると初めて聞いたときは驚きました。
この事実を知ったからには、これから僕は恐縮しながらアユの塩焼きを食べる事になりそうです。笑
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