本文へ移動

ブログ

きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)

ホウボウの話

2022-04-11
美味しいだけではない芸達者なお魚
今の時期、市場ではホウボウの姿をよく見かけます。
ホウボウは高級魚としても有名ですが、現在はスーパーなどでも見かける事があるほど私たちになじみ深い魚となっています。
 
とても美味しい魚ですが、実は数多くの特徴があり、今回はその中から4つの特徴を紹介していきたいと思います!
 
まず1つ目はその頭部が硬い骨で覆われている事です。この頭の骨を金属に例えて『金頭(かながしら)』という地方名があるようですが、実際にホウボウの仲間には『カナガシラ』や『カナド』という、頭が堅いことに名前が由来する魚も実在しています。
 
そして2つ目はとても大きく、青とウグイス色の美しい胸鰭です。この大きな胸鰭は、襲ってきた外敵を驚かせる効果があるといわれています。また、ホウボウの体は比重が小さく、水中ではフワっと浮きやすい構造になっています。水中ではこの体と大きな胸鰭を利用し、尾鰭を軽く振っただけでグライダーのようにスーっと滑空するように泳ぐことができます。
 
3つ目の特徴は胸鰭の下部にまるで虫の足のようなものが、合計で6本生えている事です。この足のようなものを指状軟条と言います。(今回は指状軟条と言いにくいので、以下、『足』と表記します。)ホウボウはこの6本(片側3本)の足を使って海底を歩くことができる珍しい魚なのです。
 
…ですが、泳げるのに歩く必要があるのか?
 
実は、この足には味がわかる感覚細胞たくさん分布しており、なんと触っただけで味を感じエサを見つけることができるのです。歩いている動きは餌を探す行動も兼ねているわけなのですね。
 
最後に4つ目の特徴です!ホウボウは体内にある浮袋を発音筋のはたらきで収縮させて、ぐーぐーと鳴くことができます!ホウボウと釣ったことのある方はきっと聞いたことがあるかもしれませんが、身の危険が迫った時に威嚇としても鳴きます。また、grey gurnard(グレイガーナード)という海外のホウボウを使った実験ではエサの取り合い時などでも鳴く事が確認できたようです。
 
さて、特徴を説明してきましたが、最後のおまけにホウボウの名前の由来もお話しします!
ホウボウは先ほど説明した足を使って水中を方々歩き回るので『方々→ほうぼう』という説と、浮袋を使ってぼうっぼうっと鳴く(咆える)ことから『咆ぼうっ!→ほうぼうっ!』…となった、この2つの説が有力と言われています!
果たしてホウボウの鳴き声が『ぐー』なのか『ぼうっ』なのか…気になった方は実際に釣ってみるか、動画などで是非ご確認ください!

いかがでしたでしょうか、ホウボウは美味しいだけではなく生き物としての魅力も本当にたくさんある魚なのです。見かける機会があれば、食べる前にその体の特徴を観察してみるのも面白いかもしれませんよ!
TOPへ戻る