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きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)

クロダイの話

2023-04-07
色々と評価がうやむやな魚
長い冬も明け、桜が咲く季節が今年も到来してまいりました。この頃に美味しくなる魚といえば桜鯛とも称されるマダイですが、今回は『クロダイ』の話です!
 
明るい赤から黒い色へ…心なしか雰囲気が暗くなりましたか?
実はクロダイはその黒い体色のせいで古くから祝儀には向かない魚として扱われていたようです。江戸時代の川柳では「黒たひは白木の台へのらぬ魚」とあり、ある話では葬儀の精進落とし料理でクロダイが出される地域もあるとのこと。
 
さて、体の色から昔は過小評価されていたクロダイですが、一方で誇れる面もあります。日本にはイシダイやキンメダイなど、語尾に「~ダイ」という名前の魚が数多くいますが、その大半はタイ科の魚ではない「あやかりタイ」なのですが、このクロダイは正真正銘マダイと同じタイ科の魚なのです。
 
ただ、クロダイは生息している場所がマダイとは異なり、内湾や河口域などの汽水域を好む傾向があります。中には川をさかのぼる個体もいる為、「川鯛」と呼ばれている地域もあるみたいです。私もダイビングでクロダイを見る機会は多いですが、やはり太陽光の降り注ぐ、比較的浅い場所でよく見られるような気がします。
 
そんなクロダイは雑食性でなんと海藻なども食べることがあります。その為、時期や産地によっては身に磯臭さが残ってしまうこともあり、ネットでクロダイと検索すると「クロダイ まずい」…などという不名誉な候補が出てくることがあります。クロダイは釣り人達にとって非常に人気のある魚です。この事は恐らく、様々な場所、様々な時期に釣り上げられた全てのクロダイに対する評価の一端だとも考えられます。
 
市場に入ってくるクロダイは、時期や産地を見極める生産者がキチンと選び、鮮度がいい状態で流通させるので、外れはほぼございません。人によっては『真鯛に劣らぬ美味しさ』とも言われるクロダイ。私も実際にいただきましたが、磯臭さなどは一切なく、刺身で本当に美味しくいただくことができました!
 
宇都宮市場ではちょうど今の時期に入荷の多い魚です。是非、街で見かけた際は、まずいという言葉からはかけ離れた『本物の黒鯛の味』を確かめてみてはいかがでしょうか。
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