きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)
サバの話
2021-09-09
足の速さはトップクラス
サバは日本で欠かすことのできない大衆魚の一つです。
日本近海でよく食卓に上がるサバは主に2種類います。ずばりマサバとゴマサバです!とても有名な魚なので耳にしたことがある方も多いと思います。また、このマサバとゴマサバは見た目がそっくりですが、実は旬が上手くずれています。一般的には冬はマサバ、夏はゴマサバと言われています。つまり今の時期に美味しくなるのはゴマサバです。
今ではいつでもどこでもサバを当たり前に食べることができますが、昔は限られた地域でしか食べることのできない魚でした。…なぜなら『サバは足が速い』からです。…くれぐれも自走して逃げるという意味ではありません。
「足が速い」という言葉は身が傷む、腐るのが速いという意味です。
ではなぜ足なのか…。江戸時代など、昔の時代では魚を桶に入れて運んでいました。その荷物を運ぶ飛脚は今では想像を絶するほどに足が速かったといいます。しかしサバなどの青魚はその飛脚の到着よりも早く傷んでしまうことがあったようで、つまり傷む速さが飛脚より速い…飛脚よりも足が速い…『サバは足が速い!』…となった説があります。ほかにも身がすぐに悪くなる事から、「悪し(足)が速い」などなど、他にも諸説あるようです。
…と、鮮度の維持がシビアな為、昔は限られた地域で食べられていたサバですが、冷蔵・冷凍技術の発達とともに全国でいつでも食べる事ができるようになりました。
そして何を隠そう、僕が今まで食べた刺身の中で一番おいしいと感じた魚は、釣り上げた夜に食べた脂ののったサバでした。
…ですが、サバの刺身はスーパーなどではあまり見かけません。その理由というのもやはり足が速い事などがあります。サバに限らずマグロやアジなど特に赤身がある魚は、常温で長時間放置するとヒスタミンというアレルギー症状を引き起こす物質が増えやすく、食中毒になってしまう危険性が増えます。また、生で食べる場合はアニサキスなどの寄生虫にも気を付けなければいけません。
僕がサバの刺身を食べた場所では、昔からそこで暮らしている現地の方が「ここのサバは生で食べても大丈夫だ!」と言っていたので安心してたべることができました。
しかし、その後社会人になってから栃木県内の居酒屋などでもサバの刺身やほぼ刺身状態の〆鯖を見かける機会もありました。
足は速いけどその分極上の味わいの生サバ、皆様も機会があれば是非ご賞味ください!
