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きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)

タチウオの話

2021-08-20
『太刀』か『立ち』か…
立秋が過ぎたこの時期、美味しくなる魚といえばタチウオですね。細長い体の太刀魚ですが、ウナギやリュウグウノツカイなどの魚とは程遠い、スズキ目サバ亜目の魚です。
その体には鱗が無く、グアニンと呼ばれるキレイな銀色の成分によっておおわれています。このグアニンは生きているときは常に新しいものが作られますが、死んで鮮度が落ちてしまうと指で軽く触れただけで剝がれてしまいます。タチウオはとても鮮度が落ちやすくデリケートな魚なのです。
タチウオはその銀色の体を刀身になぞらえて漢字では『太刀魚』と表記され、魚編では『魛』とも書かれます。
 
タチウオの名前の由来は、太刀のような姿の『太刀魚』と立って泳ぐから『立ち魚』の二つがあります。が、後者の「立って泳ぐからタチウオ」に関しては、水族館で飼育がされるようになった比較的新しい時代から呼ばれ始めたとも言われており、事実タチウオは移動する際に横泳ぎもします。スクーバダイビングでも見ることが困難なタチウオ、その立ち泳ぎを昔の時代で実際に見た人はとても少なかったのではないでしょうか。
 
また、タチウオにはこのような昔話(江戸の小咄)があります…
昔々ある夜に…お店の主人が物音に気が付き目を覚ますと、そこには大きな刀を持った強盗がいました。「金を出せ!」と脅された店主が「もうだめだ…」と、震えていると奥にいた飼い猫が強盗の刀めがけて飛び掛かったのでした。猫の勢いにビビった強盗は逃げ、店主は「主人の危機に身を挺して立ち向かうなんて…」と感心していると、あろうことか猫が刀を食べているではありませんか。よく見るとそれは刀ではなくタチウオだった…。というお話です。
確かにタチウオは猫が飛び掛かりたいほどに美味しい魚ですが、鋭い小骨が多いので猫に与えるときは注意……ではなく、やはりこの時代からタチウオは刀のような魚という認識があったようですね。
…とは言いつつ太刀魚にせよ立ち魚にせよ、どちらも間違いはなく、詰まるところ伝われば良し!…な話だと思いますので、是非お好きな方をお使いください。
字数が押してしまい、今回は食の話から離れてしまいましたが、味や利用については次回に書けたら思いますので、お楽しみに!笑
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