きぶなくんの市場のお魚雑学ブログ(魚以外もあるよ!)
メバルの話
2022-03-23
メバルの仲間はどの種も美味しい!
気温もだいぶ暖かくなり、全国では桜の開花も始まりました。市場には『春告げ魚』と呼ばれる魚の姿も見られます。春告げ魚には地域や時期によってニシンやサワラなど数種類の魚介類がいますが、今回はその中の一つメバルのお話です。
メバルは目が大きく張り出して見えることから目が張る魚でメバル『眼張(メバル)』という名前がついたといわれています。ただ、メバルは春によく出回る魚の為『目春』と表記されることも多いです。因みに眼張は俳句の春の季語にもなっています。
メバルは日本沿岸であればどこででも見ることができる魚ですが、ひとえにメバルと言っても種類数が多く、その見分け方もなかなか難しいです。
2008年、それまで浅場に生息しているメバルという1種類の魚がDNA解析などを用いた分類研究の結果、『アカメバル・クロメバル・シロメバル』という3種類の魚に分類されました。他にも沖合の深い場所に生息する沖メバルとも呼ばれる『ウスメバル』やそれによく似た模様の『トゴットメバル』など…これらの種類が主に市場にてメバルの名前で売られています。
実は他にもメバルの仲間には美味しい魚が非常に多く、所謂ソイと呼ばれる魚の仲間や高級魚のアコウダイ…なんとあのカサゴまでもが現在のメバル科に含まれています。
どの魚も煮つけなどにすると絶品な魚たちですね。
また、メバルは魚類の中では比較的珍しく、卵を産まずに子供を出産する魚でもあります。厳密にいうと母親が体内で卵を孵化させ、ある程度の大きさまで育ったところで出産するのです。このような繁殖形態を『卵胎生(卵黄依存型卵胎生)』といい、メバル以外ではグッピーなどが同じような繁殖を行います。
他にも旬が種類ごとに違う点や、その生態に合わせた釣り方、回遊するメバルもいる…などなどメバルに関するエピソードは1回では到底語りつくせません…メバルという魚はとても奥の深い魚なのです。
是非メバルを見かけたら美味しく食べて春を感じてみてはいかがでしょうか。
因みに写真は黒い方がたぶんクロメバルで赤い方がウスメバルです!
【おまけで「たぶんクロメバル」の言い訳】
アカメバル・クロメバル・シロメバルの見分け方は体の色以外にも胸鰭の軟条という筋の本数で見分けられます。
アカメバル…15本 クロメバル…16本 シロメバル…17本
…と、写真では判断が難しい個体も多いのです。